レーザー治療・レーザー脱毛 豆知識講座-皮膚科 美容皮膚科- 医療法人社団 高典会 飯田橋クリニック・船橋北口クリニック

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レーザー以外の最近の光治療は?

 

各種非レーザー光治療器の特徴

1.ナチュライト(ルミナス社製、本邦問合せ先:日本ルミナス)
lntense Pulsed Light(以下、IPL)を照射する光治療はBitterによりはじめて報告され、実用化された器械はルミナス社から、バスキュライトとして販売されました。この機器の特徴として、レーザーが単一波長(single pulse)で干渉性(cohereno)の光を照射しているのに対して、IPLではフラッシュランプを光源として採用している為、
(1)560〜1.200nmまでの広域スペクトルで非干渉性(non coherent)の光を照射してます。この為、改善可能な皮膚病変も幅広いものとなっており、メラニン沈着や毛細血管拡張性の病変のほか、闘犬毛孔、きめ、くすみの改善などにも使用することが可能です。また、IPLにおいては、表皮をターゲットとしているにもかかわらず、痛みが少ないという特徴があります。これは
(2)照射光を2つ、もしくは3つのパルスに分け、病変部表皮の温度をゆっくりと上げ、周囲の健常皮膚にダメージを与えることなく、病変のある表皮基底部や真皮浅層での反応を効果的に行う(multiple synchronized pulseの原理)為です。さらに、その後継器であるナチュライトでは、
(3)照射時の熱発生の拡散を防ぐ目的で、ヘッドには接船型冷却システムを内蔵、施術の際には冷却ジェルを使用し、安全性をより一層高めています。
このように表皮にダメージを与えない、上記のような技術はノンアブレイティブと呼ばれ、レーザー施術後に炎症後色素沈着などを起こしやすい日本人にとっては利用価値が非常に大きいのです。近年では、590nmと640nm以上のIPL波長帯を使用する、オプショナルブローブも登場しており、それぞれの病変にあったオーダーメイドの光治療ができるようになりました。実際の治療方法、照射するエネルギー密度(フルエンス)などには差がありますが、どの機種においても、照射方法に本質的な差はありません。ここでは、我々が実際に使用しているIPL(ナチュライト日本ルミナス社)について主に述べていこうと思います。
 

実際の治療方法

施術の手順
通常のクレンジング剤で洗顔後、上眼瞼を除いた顔面のほぼ全体に2〜4週おきに、ナチュライトを計3〜5回照射します。施術時には冷蔵庫で冷却した専用ジェルをトリートメント・ヘッドに塗布し、プローブと皮膚表面が垂直になるよう、押しつけないように照射しました。両眼は遮光板、特に下眼瞼照射の際には木製舌圧子で保護しながら照射しました。後処置として洗顔後に化粧水とサンスクリーンの使用を勧めました。
 

治療効果

1.顔面色素斑
フラッシュランプを用いた光治療は、欧米では、本来は血管病変を治療する器械として誕生した背景があります。しかしながら、日本人では、むしろ色素沈着、特にターゲットの小さい雀卵斑や日光黒子(小斑型)などに効果がある器械として用いられています。

1)雀卵斑
IPLは560nmプローブを標準設定で使用。エネルギー密度(フルエンス)の強さは、患者が苦痛を伴わず、施術後にわずかに発赤を生ずる程度を目標に調整しました。すなわち、22〜32J/cm2程度で3回以上施術します。施術した全例で速やかな改善が認められており、IPL治療の良い適応疾患です。しばしば黄色調が強い色調のものがあり、これらでは、低いフルエンスではIPLの反応が鈍いことがあります。そこで、4回目以後に改善度が鈍いと判断された場合には、上記の治療後(標準設定はダブルパルス)にトリプルパルス法による照射を併用しました(2pass法)。トリプルパルスを使用することにより、表皮の温度をさらにゆっくりと上げて、より高いフルエンスで治療することが可能となります。

2)日光黒子(小斑型)
設定は雀卵斑の場合とほぼ同様で良いと考えますが、雀卵斑の患者より、バックグラウンドの肌の色調が濃いことが多く、時に肝斑が混在している症例もある為、フルエンスを上げる際には、1回ごとに2J/cm2を上限として慎重に上げています。雀卵斑と同様、1つひとつのターゲットが小さい為か、IPL療法への反応が良く、効果も高いのです。
3)日光黒子(大斑型)
小斑型の場合とほぼ同様に3回施術し、改善度が落ちていると判断された場合は、4回目以後はトリプルパルスを併用して2pass法で施術しました。ターゲットが大きい為、病的な表皮絹飽か十分に反応を受けるように、色素斑周囲にある程度の発赤が出るフルエンスでやや強めに照射します。改善は小斑型に比較してゆっくりとしたものですが、一回ごとに徐々に改善します。反応が悪い色素沈首部を集中して治療する方法として、IPLをspot照射することも考えます。すなわち、厚紙で周辺組織をカバーして色素斑部のみを何回か強めに(26〜32J/cm2)反応させる方法です。ただし、安易にフルエンスを上げると、ターゲットが大きいため熱傷を生ずる危険性があります。最近、我々はこのような問題を解決する為、より黒の色調に反応性が強く、表皮ダメージは少ない640nmのプローブを使用しています。
4)肝斑
肝塔にレーザー治療を行った場合、病的な表皮細胞や色素細胞が刺激を受けて生じる、炎症後色素沈着は必発です。従って、レーザーによる肝斑の治療は禁じられています。
一方、IPLでは肝斑の治療が可能ですが、治療効果が一定せず、反応性の色素沈着を一時的に生じることも多いのです。治療には560nmの標準プローブを推奨のパラメーターで使用していますが、過度な刺激をしないように、弱め弱めのフルエンスで施術を心掛けます。すなわち、発赤を全く生じない22J/cm2以下のフルエンスで5〜10回の施術を行います。肝斑の場合、過度の治療効果を患者に期待させるのは禁物であり、化粧で十分隠れる程度の改善が治療のエンドポイントであると説明しています。また、体調を崩したり、日焼けなどで、しばしば再発例があることなどは、あらかじめ患者様サイドから了解を得ておくべきであると考えています。色素増強が明らかな場合は、皮膚炎に注意して美白剤の外用やビタミンC、トラネキサム酸内服なども組み合わせ、IPLによる治療は一時中断します。しかしながら、肝斑にも刺激の少ない640nmプローブを使用すれば、治療し始めの色素増強は最小限に予防出来るようです。肝斑の場合、症例によってIPL療法に対する反応が著しく異なる印象を受けます。色調が青褐色ではなく、茶褐色の浅い色素沈着の印象を受ける症例(melasma : epidermal type と思われます)では効果が比較的高いようです。
5)真皮メラノーシス
日光黒子との鑑別を要するものとして、後天性両側性太田母斑様色素斑(1984 Hori)などの真皮メラノーシスが挙げられます。残念ながら、IPLが効果を多少なりとも挙げられるのは、照射光が届く、真皮乳頭層のごく浅い部分に少量存在した場合のみです。
2.くすみ、きめ、しわ、開大毛孔の改善
標準設定のIPL照射を5回以上、繰り返すことにより、くすみ、きめ、しわ、開大毛孔など、種々の皮膚老化の症状に有効性が認められ、患者様サイドからの満足感も大きくなります。これらは、IPL治療により表皮の角層に
(1)ピーリング効果等が現れ、
(2)表皮リモデリングが促進される効果により生理学的なターンオーバーが高まり、肌のクスミ(色素斑まで至らない、びまん性の皮衣の色調変化)やキメ(skintex-ture)が改善するものと考えられます。また、IPLを繰り返し照射することにより、下眼瞼や外眼角などの小じわ(乾燥じわ)もよく改善します。
これは、上記2つの効果により皮膚の質感が改善した為だけではなく、
(3)真皮浅層でコラーゲンの新生を促進する効果"により、肌全体に張りが戻り、目立たなくなるものと考えられます。RFを併用する治療法では、真皮に対する効果がさらに強くなります。
闘犬毛孔の改善についても、(1)、(2)などの効果により毛孔の立体構造が改善されるだけではなく、(3)によるコラーゲン再構築により、毛孔が目立だなくなると考えられます。
3.瘢痕、脂漏性皮膚炎の治療
毛包・脂腺系病変は再発性も高く、薬物療法以外の治療を望む患者様も多く、瘡病変では、炎症性、非炎症性のいずれでも標準設定の照射法を2〜3週間隔で繰り返すことにより改善が期待できます。すなわち、非炎症性のものでは、主に毛孔を閉塞し、肥厚している角層を取り除くピーリング効果により有効です。
ただし、面飽がしっかりとへばりついているような場合は、かなり回数を重ねる必要がある為、ケミカル・ピーリングなどをスケジュールの合間に組み入れ、さらに迅速な改善効果を得るのも1つの方法です。
一方、赤みの強い皮疹にもIPLは反応する為、炎症性の座瘡治療にも有効です。この場合、ピーリング効果以外にも、熱による毛包内の殺菌効果も改善する理由の1つと考えられます。
また、ほぼ同様の理由で、脂疱性皮膚炎に対するIPLの効果も期待できます。最近では赤色の色調に反応が高い590nmプローブを治療スケジュールの途中から併用して、より安定した結果を得ています。
4.老人性血管腫
少し強めに(26〜32J/cm2)反応させる方法が有効です。しかし、血管をターゲットに照射される場合には、治療後に皮膚の腫脹が残るため、スポット照射で治療を行っています。ターゲットが小さい老人性血管腫の場合、560nmの標準プロープで十分ですが、単倚I生血管腫や毛細血管拡張症などの治療では、赤色の色調により反応が高い590nmブローブを主に使用しています。
 

よくあるトラブル

日光黒子などの治療中、なかなか反応しにくい病変部位に、フルエンスを上げて照射を試みると、実際は「非定型的な肝斑」がbackgroundに隠れていて、色素増強をきたしてしまう場合があります。我々のトライアルでは、日光黒子の治療例30症例中4名(小斑型、人斑型、それぞれ2名)で、治療中に非定型の肝斑と思われる色素沈着が出現しました。これらは、頬骨の上部などにびまん性に目立だない形で存在し、強く刺激を受けると、反応性の色素沈着を生じます。すなわち、いわゆる「隠れ肝斑」の存在には十分に留意して施術を工夫する必要があります。Wry subtle melasma invisible to the naked eyeとも呼ばれますが、皮膚科医の眼からはごく薄い、びまん性の茶褐色斑として初めから認識出来ることも多いのです。
対策として、少しでも肝斑の可能性がある怪しい病変にはフルエンスを上げずに、トリプルパルスによる2pass法を組み合わせるか、波長特性によりダメージの少ない640nmブローブを使用して、弱め弱めに照射していく方法が無難であると考えています。また、日焼けにより色素沈着していても、患者様自身が日焼けをしていないと考えていることがあります。この場合の副作用として、皮膚の反応性が高くなっており、ヒリヒリ感、腫脹、水疱、痂皮形成、その後の色素脱出や色素沈着などが施術後に起こる副作用が知られています。
 

結語

フラッシュランプを使用した非レーザー光治療器の開発により、肝斑やくすみ、小じわ、毛孔開大など、今までレーザー治療が難しかった病変に対してもその効果が期待できるようになりました。その特性から、局所の皮膚病変の改善を比較した場合、各種レーザー機器に劣るという欠点は残っている一方、局所麻酔の必要がなく、ノーダウンタイム(施術してから回復までの期間が不要なこと)、顔面の広範囲に簡単に施術することが可能であるという利点を有しています。皮膚病変の1つひとつを過激に治療するのではなく、全体的なイメージをたおやかに改善するという点で、これらの光治療器は幅広く受け入れられるようになってきており、現在では「スキンケア」、「抗老化療法」などのゴールデンスタンダードの1つとなりつつあります。