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医療レーザー治療 

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乾癬に対してレーザー治療は有効ですか?

 

はじめに

現在の乾癬治療の方針では一般的に、皮疹に限られていて軽症の場合にはステロイド外用剤やビタミンD3外用剤が用いられ、皮疹の範囲が拡大または外用療法でのコントロールが難しい症例に対してはPUVA療法やNarrow-Band UVB(NB-UVB)療法などの紫外線療法が用いられています。
しかし、従来の紫外線療法には、乾癬皮疹の認められない健常部皮膚にも紫外線が照射されてしまうことや、難治症例では照射回数と総照射量がかなり多くなってしまうといった問題点があります。総照射量や照射回数は紫外線発癌の問題から制限が必要であるため、より少ない治療回数と総照射量で、しかも疾患部位にのみ照射可能であるターゲット型照射の必要性が示唆されています。
近年、海外では乾癬に対する585nmパルスダイレーザーや308nmエキシマレーザーの有効性についての報告が相次いでおり、レーザー治療の乾癬に対するターゲット型照射としての有用性が示されています。
585nmパルスダイレーザー治療の対象は、主に単純性血管腫やいちご状血管腫、毛細血管拡張症、静脈瘤などの血管系病変ですが、真皮乳頭屑の異常毛細血管を破壊、縮小させることによる血管の正常化と炎症細胞浸潤抑制を作用メカニズムとして、乾癬に対しても効果を示します。また308nmエキシマレーザーはUVB Laser Phototherapy とも呼称されるように、Narrow-Band UVBと近似した波長を持つ紫外光レーザーで、Narrow-Band UVB療法の尋常性乾癬への優れた有効性から乾癬治療に用いられるようになっています。限局性の乾癬であっても従来の紫外線療法や外用療法に抵抗性の乾癬症例や、紫外線療法や外用療法によく反応しますが、細かい皮疹が残る症例、いったん寛解が得られても再発しやすい乾癬症例などに対して585nmパルスダイレーザー療法を施行し、その約半数での有効性を確認しています。
本サイトでは、乾癬に対する585nmパルスダイレーザー療法についての実際の照射方法と治療効果について述べるとともに、308nmエキシマレーザー療法の乾癬に対する照射方法、治療効果についても紹介します。
 

585nmパルスダイレーザー

1.使用機器
C-beam(Candela Laser Corp,Tokyo,Japan):波長585nm、パルス幅450μsec、レーザー径は5、7、10mmから選択可能で、DCD(Dynamic Cooling Device)をオプションとして搭載できます。DCDとは代用フロンによる冷却装置で、レーザー照射数mm秒前に−30゜Cの冷却ガスが照射面に噴霧され皮膚表面温度が−5℃〜−9℃にまで低下するため照射による表皮の熱障害を軽減することが可能で、レーザー径10mmで最大8J/cuと従来の機器よりも高出力でのレーザーが可能になっています。
照射時の疼痛に関しても、皮膚表面を冷却するので従来の機器使用時と比較して軽減されます。また、C-beamのパルス幅は450μsecであり、乾癬皮疹部の真皮乳頭層の異常毛細血管(く30μm)での熱緩和時開(Thermal Relaxation Time)と近似しているため、乾癬病巣での病理学的特徴である真皮乳頭層の拡張した毛細血管に選択的に作用することが可能であることも周囲組織への影響が少なく抑えられる理由の1つになっています。
2.治療方法
1)照射方法
照射時に局所の灼熱感の訴えがあるため、照射の30分〜1時間前から照射予定部に局所麻酔クリームを塗布し、局所の除痛をはかり、7%リドカインクリームODT療法を施行しています。除痛効果とともに、厚い鱗屑を付着している場合はODT療法により痂皮が浸軟化しレーザーの進達性が高まることが期待されます
。厚い鱗屑に対してミネラルオイルやピーナッツオイルを塗布することでレーザーの進達性が高まるとした報告もあります。レーザー照射はスポットサイズ10mm、レーザー出力8J/cm2、DCDのSpray Time30 ms、 Delay Time 30ms にて行います。照射後は直ちに乾癬の紅色局面は内出血反応により、暗赤色調を呈し周囲には発赤が生じるので照射部分のコントロールは比較的容易です。
照射後に疼痛がある場合はアイスパックか冷やしておいたハイドロゲルシート(ビューゲル9)での冷却が有用です。
2)照射後経過
レーザー照射部は照射直後より赤紫色の内出血斑となり、その周囲には発赤を伴います。ほぼ全例で内出血斑の一部が数日後にびらん化した後、痂皮化します。痂皮の剥脱後、乾癬皮疹は平坦化し、先行する治療などの影響ですでに平坦化し発赤を伴っていた病変部では、皮疹が白く(正常皮膚色に)抜けて見えることもあります。
最終照射より約1ヶ月後に効果判定を行います。1回で著明改善を示す症例もあるので、続いての照射は毎回照射後の経過を診てから決定します。先回照射部にパルスダイレーザーを続けて照射する必要がある場合は痂皮が脱落するまで期間をおきます。
3.治療効果
海外の文献では、尋常性乾癬に対する585nmパルスダイレーザー療法の有効性については、その照射方法や評価方法に違いはありますが、19症例の検討において11例(57%)、8症例中5例(63%)、11症例中7症例(64%)、10症例中6症例、60%〜50%以上の改善率が認められています。
また、アブレージョンとの併用例も含めての11症例中8例(73%)での有効性の報告もあります。治療効果判定には、皮疹の潮紅、鱗屑、浸潤を4段階で評価し、その総和をもって局所での乾癬皮疹の重症度とする、Plaque Severity Scoreを用いています。有効率は現在までのところ半数の症例で51%以上の有効率が認められており、585nmパルスダイレーザーは、尋常性乾癬に対する新しい有用な治療法であると考えています。
また、背部を含む体幹の方が手足を含む四肢よりも有効率が高いことが認められています。照射時の疼痛、照射後のびらん、および痂皮形成以外に、乾癬皮疹の悪化などの副作用は認められておらず、寛解期間については半年、3年と長期にわたる症例も認められています。
 

308nmエキシマレーザー

1.使用機器
XTRAC Ultra Laser(PhotoMedex、Montgom-eryyille、PA):波長308nm、パルス幅30ns、パルス繰り返し数200Hz、レーザー径4.0cm2(2cmx2cm)、1パルスのエネルギー出力2〜3.8mJ/cm2、xeCIガスを媒体とする紫外光レーザーで、自動的に連続して照射されるPaintモードと間接的に照射するTileモードヘの切り替えが可能で、なおかつMED(Minimal Erythema Dose)測定モードが搭載されているのが、他機種との違いとなっています。308nmエキシマレーザーはこれまでに皮膚科領域においては尋常性乾癬のほか、白斑の治療にも導入されています。
308nmエキシマレーザーの波長は中波長紫外線領域に含まれる3H nm Narrow-Band UVB の波長と近似しています。エキシマレーザー療法はUVB Laser Photother-Apyとも呼ばれ、311 nm Narrow-Band UVB 療法の尋常性乾癬への優れた有効性から、乾癬治療に広く用いられるようになっています。紫外線発癌の問題に関しては、現在までのところ大きな問題にはなっていないようですが、紫外光を発生する以上はその発癌性について今後十分な注意が必要とされています。
2.治療方法
1)照射方法
紫外光レーザーであるので、照射前にMEDを測定します。非露光部の正常皮膚に100、150、200、250、300、350mJ/cm2までの6段階でレーザー光を照射し、24時間後に判定を行います。XTRAC Ultra LaseroではMED測定モードがあるので簡便です。照射間隔については、最初の3週間は週2回で照射し、以降は週1回、週3回、9照射するといった報告があります。初回照射量は乾癬皮疹の位置、大きさ、浸潤の住さにMEDを加味して決定しますが、3MEDから開始している報告(足関節などでは2MEDから照射している)や1または2MEDから照射している報告があります。
皮疹に付着している厚い痂皮に対しては乳酸アンモニウムローションを照射数日前から塗布する、照射時にミネラルオイルを塗布するなど、レーザー光の進達性を高める工夫がなされています。照射時の疼痛に開しては、照射部がわずかにあたたかく感じられる程度なので局所麻酔などは必要がありません。 また、従来の紫外線治療と類似しているので、レーザー照射後に特に後療法を必要としません。
2回目以降の照射量については、乾癬皮疹がレーザー照射に反応せず、なおかつ紅斑や刺激感がない場合は1MEDずつ照射量を増量している報告や、25〜30%の間で増量している報告などがあります。また308nmエキシマレーザーと308-nm excimer lamp および311 nm narrow-bandUVBの乾癬における治療効果についての報告では1、1、2、2、3、3、3・・・multiple MEDsまたは2、2、4、4、6、6・・・multiple MEDといった増量で照射を行っています。
2)照射後経過
照射後、約半数に紅斑が見られ、次いで水疱形成、色素沈着が認められます。浅いびらんも25%に認められています。又、水庖が見られた場合はワセリンや抗生剤を塗布し、水疱が治癒するまでは次回照射は控えます。
3.治療効果
治療効果については、週2回10回照射の検討で対象患者の72%で平均6.2回の治療で75%以上の改善が認められた報告や、対象患者の84%で7〜10回照射で90%以上の改善が認められた報告などがあります。寛解期間は3.5か月〜半年と報告されています。
 

乾癬に対してレーザーは有効か?

尋常住乾癬は外用療法に抵抗性の場合、PUVA療法やナローバンドUVB療法などの光線療法が第二選択となりますが、紫外線発癌の問題から乾癬皮疹部にのみ照射が可能なターゲット型照射が考慮されるようになっています。パルスダイレーザーやエキシマレーザーなどの尋常性乾癬に対するレーザー治療は、水疱やびらんといったDowntimeの問題や、照射時の疼痛などの問題、厚い痂皮を有する乾癬皮疹に対する問題、あるいはレーザーコストの問題などから、全身に広汎に拡大する乾癬病変に対する治療の第一、第二選択にはなり難い(罹患面積20%以上が適切とされていますが)といわれています。
しかし疼痛を局所麻酔クリームでコントロールし、痂皮に対してミネラルオイルなどの塗布で対応できれば、従来の治療に抵抗性を示す症例や、罹患面積は小さいけれど、外用治療に反応しにくい症例、あるいは光線治療や外用治療によく反応するが再発しやすい症例などに対して非常に有用な治療手段になり得ます。
 
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