レーザー治療・レーザー脱毛 豆知識講座-皮膚科 美容皮膚科- 医療法人社団 高典会 飯田橋クリニック・船橋北口クリニック

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医療レーザー治療 

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レーザー治療のメカニズム

 

レーザー治療とは

レーザー(LASER)はLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation という言葉の頭文字を連ねてできた言葉で、レーザーの意味は文字どおり光の増幅です。このレーザーは、理論的根拠や実験的裏付けがないまま治療に用いられ、多くの瘢痕形成が報告されていました。
 

レーザー治療の原理

Selective Photothermolysis(SP)という「コロンブスの卵」的発見により、レーザー治療は一変しました。
SPの骨子は、
1.目的とする色素に到達し、特異的に吸収される波長。
2.目的とする細胞・組織のthermal relaxation time よりも短い照射時間(パルス幅)。
3.目的とする細胞・組織を破壊するのに十分な照射エネルギーの3条件を満たす光を照射すれば、色素病変を瘢痕なく治療できるというものです。
具体的にいうと、赤あざにはヘモグロビンに吸収される波長、色素病変にはメラニンに吸収される波長の光を用いなければなりません。ただしメラニンは黒い色素なので、可視光線であればどの波長の光でも良いです。また波長によって皮膚への深達度が異なり、可視光線では、波長が長いほど深達度が高くなります。
しかし、目的とする色素に到達し、それに吸収される波長の光を照射しただけでは瘢痕形成を防ぐことはできません。それは照射時間が長いと、ターゲットに吸収された光エネルギーはやがて周りの組織に拡散し、周りの組織に非特異的な熱傷害が生ずるからです。これを防ぐためには、照射時間を短くし、ターゲット内で生じた熱エネルギーが周りの組織に移行する時間(thermal relaxation time : 熱緩和時間)よりも短い時間内にレーザー照射をやめなければなりません。つまり、パルス光でなければならず、照射時間(パルス幅)が長いほど、瘢痕形成を生じやすく、パルス幅が短いほど瘢痕形成が見られないということです。もちろん照射エネルギーが高いほど、治療効果も高くなりますが、その反面副作用の可能性も増します。
以上のようにレーザー治療の適応疾患は機種で決まるのではなく、レーザー光の波長とパルス幅で決定されます。
 

色素性皮膚病変に対するレーザー治療

可視光線であればどの波長の光でもメラニンに吸収されますが、血管の傷害を起こさないためにはヘモグロビンに吸収されない630nm以上の波長の光が望ましいでしょう。またメラノゾームの熱緩和時間である50ナノ(10の-9乗)秒より短いパルスレーザーでないと、瘢痕を生ずる可能性があります。さらに照射エネルギーが高くなければなりません。このような条件を満たすレーザーとしてはQスイッチレーザーかあります。
Qスイッチレーザーを色素病変に照射すると、瞬時に色が白くなります(Immediate Whitening Phenomenon;IWP)。これはメラニンが光エネルギーによって溶けるために微細な空砲がメラノゾーム内に生じ、チンダル現象によって色が白く見えるものです。したがって照射エネルギーが弱かったり、パルス転が長いと、メラニンに限局した熱変性が起こらないため、IWPは見られません。このIWPはメラノゾーム内の微細な空砲が融合するため、やがて(10〜20分で)消失し、レーザー照射部に蕁麻疹様紅斑が見られます。
この蕁麻疹様紅斑は高出力のパルス光による衝撃波によるもので、翌日には消失しますが、QスイッチNd:YAGレーザーのように衝撃波が強いものでは、内出血も稀ではありません。
またbasal pigmentationが著しい病変では、レーザー照射直後にびらんが生じたり、照射翌日に小水疱が見られることがあります。これはメラニンが多く存在する表皮基底層が主に熱変性をきたすためです。びらんや小水疱が生じた場合は、数日するとレーザー照射野に褐色の痂皮・落屑が付着し、その痂皮・落屑は通常1週間〜10日ほどすると剥がれ落ちます。痂皮・落屑が剥がれると褐色の色調は消失し、かわりに紅斑となっていることが多くなります。この紅斑はやがて炎症後の色素沈着となりますが、炎症後色素沈着は通常数ヶ月で消褪します。しかし場合によっては色素沈着が半年近く続くこともあります。
1.色素が真皮に増加している病変
1)メラノサイトが真皮に増加している病変(dermal melanocytosis)
Qスイッチレーザー照射を繰り返せば瘢痕を残すことなく色を薄くすることができます。しかし、レーザー照射後に生ずる炎症後色素沈着がある内にレーザー照射すると、レーザー光は表皮のメラニンに吸収され、照射治療効率が悪くなります。さらに炎症後色素沈着の原因となった活性化された表皮メラノサイトを破壊することになり、脱色素斑を生ずる恐れがあります。したがって炎症後色素沈着がおさまってから、通常3〜4ヶ月以上間隔をあけてレーザー治療を行います。
2)色素性母斑、青色母斑
Qスイッチレーザー治療によって確実に色調は薄くなりますが、色素細胞の数が多いと多数の治療回数を要します。そこで治療回数を少なくするために、多少の瘢痕形成がみられてもパルス幅の長いレーザーを照射することもあります。
また色素を持っていない母斑細胞(C型母斑)はパルスレーザーでは破壊されません。そのためC型母斑細胞からなる隆起性の病変が扁平化することはありません。そこでこのような色素性母斑は、外科的に切除するしかないのです。
3)刺青
墨汁はあらゆる可視光線を吸収するので、墨汁による刺青にはQスイッチレーザーが有効です。しかし種々の色がついている刺青(decorated tattoo)の場合、個々の色素に吸収される波長のレーザー光を照射しなければならず、治療に限界があります。また肌色のアートメイクには酸化鉄や酸化チタンなどが使用されており、これらの物質はレーザー照射により、黒色化するので、注意を要します。
2.メラニンが表皮内のみに増加している病変
表皮のみを選択的に除去すればよいので、Qスイッチレーザーばかりでなく、ミリ秒、マイクロ秒のパルス幅の光でも治療は可能です。
ただしパルス幅が長くなると瘢痕形成の可能性が高くなるので、エネルギー照射量を減らさなければなりません。その分治療効果も落ちることになります。
また病変は皮膚の表面にあるため、皮膚深達度が悪い、短い波長の光でも治療は可能ですし、液体窒素療法や炭酸ガスレーザーでうまく表面を剥離することができれば、それなりの治療効果があります。
ただし短パルスのレーザー治療法以外は瘢痕などの副作用を生ずるため、大きな病変を治療すると瘢痕が目立ちます。一般に休止期のメラノサイトにはメラニンがほとんどないため、体庄期のメラノサイトにQスイッチレーザーを照射しても、メラノサイトはあまり傷害を受けず、主に表皮基底細胞が熱変性を受けます。そのためレーザー照射後色素病変がなくなりますが、表皮が再生する際に、照射野辺縁や照射野に残存したメラノサイトが活性化し、色かかえって濃くなることがあります。これがいわゆる炎症後色素沈着です。
一方レーザー照射部位のメラノサイトが活動期にあれば、メラノサイトは破壊され、脱色素斑となります。
1)炎症後色素沈着
通常の炎症後色素沈着は半年以内、遅くとも1年以内に自然に消失します。もし炎症後に色素沈着が1年以上も残っている場合は、組織学的色素失調を疑わなければなりません。この場合は、真皮にメラノファージがあるので、Qスイッチレーザーが有効です。
2)茶アザ(カフェオレ斑、扁平母斑、ベッカー母斑)
日本で言う扁平母斑(欧米ではカフェオレ斑と呼ばれる)のレーザー治療に対する反応はさまざまで、有効だと思われる症例は5人に1人程度です。
一方、欧米でいう扁平母斑(speckled lentiginous nevus)の淡褐色斑は上記と同じ経過をたどりますが、点状の黒色斑は母斑細胞からなるため、レーザー照射により確実に色は薄くなります。
3)老人性色素斑
老人性色素斑は、老化による表皮ケラチノサイトの異常であるため、レーザー照射によりメラニンを有している病的ケラチノサイトを破壊すれば、正常表皮が再生します。もちろんこの場合も一過性の炎症後色素性沈着が見られますが、通常数ヶ月程度(日光にあまり曝露されない部位では半年程度)で消失します。
その他、basal pigmentationの見られる老人性疣贄などの皮膚腫瘍もレーザー治療に反応しますが、対象となった腫瘍の厚さに応じて、治療を繰り返さなければなりません。
4)粘膜の色素斑
粘膜の色素斑は、レーザーを1回照射するだけで消失し、炎症後色素沈着も見られません。それは通常の粘膜ではメラノサイトが存在しないためです。
5)肝斑
レーザー治療後(10日前後)に痂皮が剥がれると、色が消失しますが、すぐに炎症後色素沈着が生じ、レーザー治療1ヶ月後には、返って色素増強が見られます。その数か月〜半年で、元の色調に戻りますが、レーザー治療は無効になります。またケミカルピーリングで肝斑が良くなることもありません。
6)雀卵斑
我が国で雀卵斑を主訴に来院する患者の1/3は太田母斑で、残りは小型の老人性色素斑や色素性母斑の多発した患者です。したがって治療は疾患によって異なります。
 

血管腫に対するレーザー治療

血管腫のレーザー治療は、赤血球に吸収されたレーザー光の熱エネルギーが血管壁に拡散し、血管壁を破壊することによります。そのためレーザーのパルス幅はマイクロ秒がよく、それよりも短いと赤血球のみの選択的破壊が起こり、血管腫の治療になりません。逆にパルス幅が長すぎると、血管の周りの組織にも瘢痕をきたすことになります。
現在汎用されている色素レーザーのパルス幅は、小児の血管径から熱の拡散理論に基づいて計算されたものです。そのためこの太さの血管からなる血管腫の治療には適していますが、それより太い血管には効きが悪くなります。 つまり太い血管にはパルス幅を長く、細い血管にはパルス幅を短くした方がよいのです。
ただし、パルス幅が長くなると、瘢痕をきたす可能性が高くなりますので、表皮を冷却する装置を付ける必要があり、最近太い血管をターゲットとした色素レーザー(vbeam)が発売されました。さらに血流が早いと、レーザー光の熱エネルギーが血液によって運び去られてしまい、治療効果が劣ります。
このように血管腫の治療には血管腫の存在する深さ、血管の太さ、血流の早さ、血管壁の厚さ、赤血球密度などがレーザー治療の有効性に影響を与えます。そのため、それ以上の治療効果がない場合は、さらなるレーザー治療を行うべきではありません。
また波長585nmの光の皮膚深速度には限界があるため、深部に存在する血管腫には無効です。
1)単純性血管腫
すべての症例にレーザーが有効というわけではなく、四肢、特に下肢のものは有効率が低くなります。また顔面・頭部に生じたものは、成人になると、病変が隆起してくることかあるため、病変が隆起する前にレーザー治療を行うべきです。
2)いちご状血管腫
本症は基本的に自然消褪する傾向にあるため、全例治療が必要なわけではありません。しかし生後1年以内では眼を数日間覆うだけで弱視をきたすことかあり、また巨大な血管腫による圧迫症状が見られた場合は、治療を開始しなければならなりません。
また耳、鼻、口唇などに生じた場合も、潰瘍化し、皮膚欠損となることがありますので、治療をした方が良いです。治療としてはレーザー治療よりはステロイド投与の方が優れています。レーザー治療は成長期には効きが悪く、退縮期には効果がありますが、無治療部も自然消褪するため7、8歳頃には治療した部位と未治療部位の差はほとんど認められなくなります。
 

レーザー脱毛

メラニンを含有している毛に可視光線を照射すると、光エネルギーは毛から毛包に拡散し、毛包に存在するFomcular Stem Cellを破壊し、永久脱毛をきたします。Fonicular Stem Cell は外毛根鞘の最外側に存在しているので、パルス幅を長くしなければなりません(マイクロ〜ミリ秒)。しかしこのパルス幅では表皮の熱変性の方が強くなりますので、脱毛効果が弱くてもエネルギー照射量を少なくしなければならず、たった一回の治療で永久脱毛は困難です。
 

皮膚の若返り(skinrejuvenation)

Photoablationは強い光(通常はレーザー光線)によるAblation(表面の物質あるいは組織を剥離・除去)を意味します。Photoablationには、強力な赤外線を照射し、瞬間的に水を蒸散させることにより組織を剥離するThermal Ablationと、強力な紫外線を照射することにより蛋白組織を剥離するChemical Ablationがあります。最近このPhotoablationにより、Skin Rejuvinationが行われるようになりました。これはPhotoablationによりSolar Elastosisに陥った真皮上層を除去・剥離(Ablation)し、その後新たに真皮を阿生させることによって皮膚の若返りを計るものです(Laser Resurfacing)。
しかしこれは、皮膚に瘢痕を形成することによってひきつれを起こし、小皺を目立たなくする方法であるため、我々黄色人種ではケロイド状瘢痕となることが多くなります(特に頭部)。
そこで最近は冷却装置を装着したレーザーが発売され、レーザー照射と同時に皮膚表面を冷却装置で冷やし、表皮の傷害をできるだけ少なくするレーザー(Nonablative Laser)が開発されました。Nonablative Laserはレーザーの非特異的熱反応を利用したものなので、真皮に到達する波長の光であればどれでも良く、パルス幅もあまり短いと色素に選択的に吸収されるため、マイクロ〜ミリ秒のパルス幅の光が用いられています。当然パルス幅が長いと瘢痕形成をきたすため、照射エネルギーを下げざるを得ず、その結果皮膚の若返り効果はそれほどではありません。
Nonablative Laserには水 Specific レーザーと血管 Specificレーザーがあります。
水 Spedficレーザーは組織中の水に吸収される高出力の光を照射すると、組織に熱変性が起き、変性した組織を修復するために皮膚の再生が起き、結果的に若返ることを目的としたものです。
しかしこれは瘢痕形成と表裏一体であるため、皮膚表面の瘢痕を目立たなくする必要があります。そこで、レーザー照射と同時に皮膚表面を冷却すると、皮膚表面の熱変性を減じ、熱変性をある程度真皮の方に限局できます。
しかし皮膚表面を冷却しすぎると凍傷になり、冷却が足りないと瘢痕が目立ちます。いずれにせよ照射エネルギーを上げると瘢痕形成は必発です。
また水に吸収される光は波長の長い可視光線か赤外線であるため、どれでも良いですが、皮膚の深達度が高い近赤外線が比較的良いです。血管 Specific レーザーは血管腫用のレーザーですが、パルス幅が長いと、血管の周りの組織を変性破壊します。その結果血管周囲の結合組織を変性させ、新たな結合組織の再生を促します。この場合もレーザー治療と同時に皮膚表面を冷却する必要かありますが、水Specificレーザーほど、表皮を冷やす必要ありません。しかし血管Specificレーザーの方が、皮膚の深達度が低いため、水Specificレーザーよりは皮膚のたるみなどの若返り効果は少ないと思われます。しかし、赤ら顔などの症状はとれるので、患者さんに喜ばれるかもしれません。
 

レーザーメス

レーザー光線の熱作用による組織の非特異的な焼灼を目指したものがレーザーメスで、表凝固・焼却できる利点を有しています。
しかし皮膚疾患は皮膚表面に存在するため、あえてレーザーメスを選択するメリットはありません。ただしレーザーは、レーザー光のSpotsizeをしぼることが可能なため、微小な腫瘍の凝固・焼却には電気メスよりは優れています。
 
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