| 2.メラニンが表皮内のみに増加している病変 |
表皮のみを選択的に除去すればよいので、Qスイッチレーザーばかりでなく、ミリ秒、マイクロ秒のパルス幅の光でも治療は可能です。
ただしパルス幅が長くなると瘢痕形成の可能性が高くなるので、エネルギー照射量を減らさなければなりません。その分治療効果も落ちることになります。
また病変は皮膚の表面にあるため、皮膚深達度が悪い、短い波長の光でも治療は可能ですし、液体窒素療法や炭酸ガスレーザーでうまく表面を剥離することができれば、それなりの治療効果があります。
ただし短パルスのレーザー治療法以外は瘢痕などの副作用を生ずるため、大きな病変を治療すると瘢痕が目立ちます。一般に休止期のメラノサイトにはメラニンがほとんどないため、体庄期のメラノサイトにQスイッチレーザーを照射しても、メラノサイトはあまり傷害を受けず、主に表皮基底細胞が熱変性を受けます。そのためレーザー照射後色素病変がなくなりますが、表皮が再生する際に、照射野辺縁や照射野に残存したメラノサイトが活性化し、色かかえって濃くなることがあります。これがいわゆる炎症後色素沈着です。
一方レーザー照射部位のメラノサイトが活動期にあれば、メラノサイトは破壊され、脱色素斑となります。 |
1)炎症後色素沈着
通常の炎症後色素沈着は半年以内、遅くとも1年以内に自然に消失します。もし炎症後に色素沈着が1年以上も残っている場合は、組織学的色素失調を疑わなければなりません。この場合は、真皮にメラノファージがあるので、Qスイッチレーザーが有効です。 |
2)茶アザ(カフェオレ斑、扁平母斑、ベッカー母斑)
日本で言う扁平母斑(欧米ではカフェオレ斑と呼ばれる)のレーザー治療に対する反応はさまざまで、有効だと思われる症例は5人に1人程度です。
一方、欧米でいう扁平母斑(speckled lentiginous nevus)の淡褐色斑は上記と同じ経過をたどりますが、点状の黒色斑は母斑細胞からなるため、レーザー照射により確実に色は薄くなります。 |
3)老人性色素斑
老人性色素斑は、老化による表皮ケラチノサイトの異常であるため、レーザー照射によりメラニンを有している病的ケラチノサイトを破壊すれば、正常表皮が再生します。もちろんこの場合も一過性の炎症後色素性沈着が見られますが、通常数ヶ月程度(日光にあまり曝露されない部位では半年程度)で消失します。
その他、basal pigmentationの見られる老人性疣贄などの皮膚腫瘍もレーザー治療に反応しますが、対象となった腫瘍の厚さに応じて、治療を繰り返さなければなりません。 |
4)粘膜の色素斑
粘膜の色素斑は、レーザーを1回照射するだけで消失し、炎症後色素沈着も見られません。それは通常の粘膜ではメラノサイトが存在しないためです。 |
5)肝斑
レーザー治療後(10日前後)に痂皮が剥がれると、色が消失しますが、すぐに炎症後色素沈着が生じ、レーザー治療1ヶ月後には、返って色素増強が見られます。その数か月〜半年で、元の色調に戻りますが、レーザー治療は無効になります。またケミカルピーリングで肝斑が良くなることもありません。 |
6)雀卵斑
我が国で雀卵斑を主訴に来院する患者の1/3は太田母斑で、残りは小型の老人性色素斑や色素性母斑の多発した患者です。したがって治療は疾患によって異なります。 |