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| レーザー治療には、Selective Photothermolysisの理論に基づいてQスイッチ発振の短パルスレーザーが用いられます。Qスイッチ発振のレーザーの種類としては、Qスイッチルビーレーザーとスイッチアレキサンドライト(以下、Q-ALEX)レーザーおよびQスイッチNd:YAG(以下、Q-YAG)レーザーがあります。これらのレーザーはともに、メラニン含有細胞を破壊できるため、色素性病変に有効です。694nmの波長、20〜40nsecの照射時間であるQスイッチルビーレーザーに対しQ-ALEXレーザーは755nmの波長であり、メラニンヘの吸収は少し落ちますが、やや深部にまで光が到達します。 |
| ただし、照射時間が50〜100nsecであり、メラノソームの熱緩和時間より長いため痘痕形成を生ずる可能性があります。Q-ALEXレーザーの中でもキャンデラ社のALEX
LAZR(パルス幅が50ns)はコンパクトで軽量であり、最大1秒開に5shots照射することができるため、治療時間は大幅に短縮できるという特徴があります。Q-YAGレーザーは1064/532nmの波長、5〜7nsecの照射時間、QスイッチルビーレーザーとQ-ALEXレーザーよりピークパワーが高いという特徴を持っています。1秒間に10shotsまでレーザー光を発振できるものもあります)。ピークパワーが高いため、照射時の組織飛散、出血に注意する必要があります。 |
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レーザー発振は、ある閥値を超えた強さの光によって励起されて起こり、ルビーレーザーに代表されるパルス発振とヘリウムネオンレーザーに代表される連続発振に区別されます。パルス発振は、フラッシュランプで閥値を超える強い光エネルギーを与えると起こり、エネルギー供給量が減少すると停止します。
Qスイッチ発振は、ルビ一端面を研磨してできた共振器と呼ばれる2枚の鏡によって発振させます。起動は、まず1枚の端面の鏡をルビ一端面と切り離して高速回転させることから始まり、反転分布の原子数が多くなった瞬間に、2枚の鏡に平行になるようにして誘導幅射を起こし、10〜100nsの間に非常に強いレーザー発振を起こします。共振器の光損失は、鏡が平行になった瞬間に最小になり、レーザー発振が起こるこの方式をQスイッチと呼びます。 |
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1.特徴
Qスイッチルビーレーザーは、1991年より日本に導入され、現在では太田母斑をはじめとする色素性病変に対する有効な治療法として皮膚科・形成外科施設にて広く普及しています。一般的に広く使われてきた機種は米国Spectrum
Medical Technologies製のRD-1200と東芝メディカル製のLRT-301A/QS、日本赤外線工業(NIIC)製のIB101です。照射時間(Qスイッチ発振とノーマル発振)の切り替えができるジェイメック社(JMEC)製のThe RubyZ1もあります。 |
機械の特徴としては、ルビーレーザーにくらべて極端に短い照射時間と非常に高いピークパワー、そしてルビーレーザーの照射時間がms単位であるのに対し、Qスイッチルビレーザーでは20〜30nsです。
照射時間は、メラノソームの熱緩和時間よりも短い照射時間なのでメラノソームの周囲に熱による直接的な影響を及ぼすことなくメラノソームを破壊できます。ルビーレーザー光は波長が694.3nmで、メラニンにはよく吸収され、酸化ヘモグロビンやコラーゲンにはあまり吸収されません。そのため、太田母斑、異所性蒙古斑など真皮メラノサイト増殖疾患などでは、一般的には治療を重ねると色調が正常化することが多く、また、保険適応疾患のみならず老人性色素斑、雀卵斑、光線性花弁状色素斑といった本来保険適応でない色素性病変にも有効な成績を得ています。 |
2.保険適応疾患
現在、保険で認められている適応疾患は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性異物沈着症(外傷性刺青)そして扁平母斑の4疾患です。これら以外の雀卵斑、脂滑I生角化症、光線性花弁状色素斑などの色素性病変や刺青は、保険は効かず自費診療になります。
注目すべきは、真皮メラノサイト増殖疾患である太田母斑と異所性蒙古斑、そして外傷性異物沈着症では、Qスイッチルビーレーザー、Q-ALEXレーザーともに保険適応になっていますが、扁平母斑はQスイッチルビーレーザーのみしか適応となっていないという点です。 |
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| Qスイッチルビレーザーの照射光を直接見ることは目の健康上好ましくありません。JIS規格で眼障害を生じない限界値、MPE(最大許容露出量)が定められ、レーザー機器の安全度をクラス分けしており、医療用レーザーの大部分はクラス4に属します。Qスイッチルビレーザーも例外ではありません。専用メガネやゴーグルを必ず装着します。また、患者様や術者以外の介助者も専用メガネを装着します。 |
レーザー照射における前処置として、女性の場合は必ずレーザー照射予定部位とその周辺部位のお化粧を落としていただきます。また、毛が多い部分を照射する場合、できる限り剃毛します。
麻酔はリドカイン(ペンレス)テープ貼付、リドカインクリームの外用密封、あるいは1%キシロカイン局所皮下注射によって行います。
眼瞼とその周囲に病変があり、その部位にレーザー照射が必要な場合、角膜などにレーザー光が伝わらないように細心の注意を払わなければなりません。多くは眼球保護用のコンタクトシェルを装着した上で照射することが一般的です。 |
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1.照射直後の変化
レーザー光から吸収される対象が多く存在している皮膚の表面には、照射直後から約20分程度Immediate
Whitening Phenomenon(照射直後白色化現象)が起こります。ただし、レーザーの出力エネルギーが弱かったり、色素が薄い場合、出現しないこともあります。出力エネルギーを強く設定する太田母斑の治療中にはよくみられ、Immeate
Whitening Phenonlenonの後は、照射部および辺縁部に蕁麻疹様の浮腫性紅斑が生じます。太田母斑でよく治療対象となる眼瞼部では、腫脹が数日続くこともありますが、そのほかの部位では1〜2で腫脹はかなり軽減します。 |
2.処置と注意
浮腫性紅斑の後、びらんが見られたり、照射翌日に水疱が出現するケースがあります。主に表皮基底層に存在するメラニンにレーザー光が吸収され、主に表皮基底層が熱変性をきたすからです。照射後5〜7日間は抗生物質軟膏(ゲンタシンなど)を外用し、保護をするよう指導します。びらん、小水庖また熱傷変化が起きた場合は数日で褐色の痂皮・落屑が付着するようになり、大抵7〜10日で剥がれ落ちます。剥がれ落ちた後は、褐色色調は消失しますが、欠損した表皮を補うために表皮は再生し、その時に照射範囲の辺縁の表皮または照射部に残存したメラノサイトが活性化し、一過性の炎症後色素沈着が起こります。大抵数ヶ月で消退するので、特に治療の必要はありませんが、美白作用のある外用剤(甘草エキス含有白色ワセリン軟膏、ハイドロキノンなど)の外用を行うと効果的の場合もあります。また、サンスクリーンの使用もすすめています。 |
3.副作用
照射直後に予想される副作用としては、先述したImmediate Whitening Phenomenon
の消失の後に起こる発赤、浮腫性変化、びらんがあります。長期的に見て、廠痕形成はあまり例がありませんが、先述した炎症後色素沈着は起こることがあります。また、太田母斑や扁平母斑患者において、何回か治療を続けると脱色素斑が起こる場合があります。 |
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効果の判定は、一般的には照射後約1ヶ月後と3ヶ月後に行います。1ヶ月後の時点では、照射部のSkin
Textureが正常に戻っていない状態で炎症後色素沈着として残存している場合があり、正確な効果判定が困難なこともあるからです。
治療の間隔期間は、施設によって、また疾患の種類によって、かなりばらつきがあります。治療施設の方針、保険制度、患者様の社会的背景などによる埋由ですが、太田母斑や扁平母斑の場合、3ヶ月以上の期間を空けるのが一般的なようです。これはレーザー照射後、皮膚表面のSkin
Texture をマイクロスコープで観察すると、正常に戻るまで約3ヶ月を要するというのが主な理由です。
照射歴1〜2ヶ月では皮丘、皮溝が扁平で、部分的に旨毛細血管の拡張を認めています。また、照射3ヶ月以内は色調そのほかについても変化の大きい時期であり、日光曝露も避けた方が良いと言えます。
また、表皮基底層でのメラニンの増加はレーザー光が深部に到達することを阻害する方向に働くともいわれています。標的となるべき細胞が真皮内に残存し、追加照射が必要であっても、レーザーの照射の効率を高めるため、表皮基底層のメラニン増加である炎症後色素沈着が軽快するのを待つこともあります。 |
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