1.LASER
LASERとはLight Amplification by the Stimulated Emission
of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭文字です。レーザー治療は、1983年、Anderson
RR とParrish JAのSelective Photothermolysisの理論が発表され、周囲の正常組織に対する組織損傷を最小限にして目標細胞に選択的に熱を与え瘢痕を形成せずに治療することが可能となりました。そのために適切な波長、照射時間、照射エネルギー、組織深達度が必要です。
保険適応外疾患の治療の対象は、メラノサイトによる色素病変や、刺青などの色素であり、そのレーザー治療は、メラノサイトや色素を目標にして治療が行われます。メラニンの吸光波長は広範囲にありますが、波長が短いほど吸収率は良く、波長が長くなれば吸収率は悪くなります。したがって紫外線に近い波長の方が吸収率上では有利なのです。 |
2.波長
色素性病変のレーザー治療では表在性の病変に用いる短い波長が使われることもありますが、長い波長のレーザーが選択されることが多く694nmのルビーレーザー、755nmのアレキサンドライトレーザーそしてメラニンヘの吸収効率は悪くなりますが、1064nmと高調波の532nmのNeodymium-Yttrium-Aluminum-Garnet
YAG(Nd-YAG)レーザーが用いられます。 |
3.照射時間
照射時間は、瘢痕の形成を避けるため、熱エネルギーを目的とする色素に与え、周囲の組織に熱の影響を与えない時間、つまり目標に吸収された熱の1/2が拡散するのに要する時間(Theremal
Relaxation Time : 熱緩和時間戸)より短く照射する機器を選択することが多く、色素性病変の治療対象となるメラノサイトの熱緩和時間は50nsと計算され、50nsより短い照射時間のレーザー機器が必要です。この時間を満たすために、光共振器の共鳴の鋭さを表す値のQ値を急速に変化させて高出力を収り出すQスイッチの付いたレーザー治療機が必要となります。
しかし老人性色素斑は表在性異常のため、ロングパルスのルピーレーザーやアレキサンドライトレーザー治療が可能です。これに対して、刺青は真皮内に色素があるためQスイッチレーザー治療が必要です。レーザー治療の始まった当初は、Qスイッチの付いた高出力で照射時間の短い機器の作成が困難で、さまざまな工夫がなされましたが、現在は各種レーザー機器が発売されています。この中には、薬事未承認の機種も含まれており、一部の機種は保険治療の適応外となっています。 |
4.組織深達性
レーザー光線は、波長により組織への深達性が異なります。波長が長くなるにつれ水に吸収されるようになり、波長が短くなるとタンパク質などに吸収され深部に到達できず、また、角層というバリアが皮膚表面にあり、光は角層で散乱や反射を起こし、皮膚内に入りにくくなっています。 |
5.照射エネルギー
Qスイッチレーザーを用いて、短時間内に目標細胞に必要十分なエネルギーを照射した場合、レーザー照射を受けた部位は照射直後に白色変化を起こします。Qルビーレーザー、Qアレックスレーザーでは、もし照射エネルギーが過剰な場合、被照財部に出血反応が見られたり、水疱の発生や組織片の散乱が起きる場合かあります。その場合には出力を下げる必要があります。
Q-YAGは、特徴として出血反応がみられるので出力調整が難しく、その特徴の出血反応を目安に調節を行わなければなりませんが、わずかな出血反応では治療効果があがらず、多量の出血や大量の皮膚片の飛散は瘢痕形成の可能性が大きくなります。したがって、適量のレーザー照射量の判定が難しくなり、照射エネルギーが過剰な場合には、瘢痕の形成や色素脱失などの副作用が起こる可能性があり十分な注意を行いながら照射する必要があります。ロングパルスのルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーが適量照射されると、小水疱ができ数日後しみの部分が黒化して脱落します。 |