Er:YAG レーザーは、波長は2.94μmをもつパルスレーザーです。
Er:YAG レーザーの大きな特徴として、図-1に示すように、水に対する吸収率が非常に高く、現在、スキンリサーフェシングに使用されるCO2レーザーの、約13倍もの吸収率をもっていることです。
この性質によって、Er:YAG レーザー光は、組織に当たると、エネルギーの大部分が表層の細胞の水分に吸収され、あまり深層へ浸透していきません。
結果として、CO2レーザーに比べ、凝固層が浅く、周囲組織への熱ダメージ(Thermal Damage)が最も少ない蒸散面が得られます。あまりに熱ダメージ層が少ないため、Er:YAG
をコールドレーザーと呼ぶ人もいます。 |
熱ダメージ層が少ないことから、リサーフェシング時の術野の副作用が軽減されるであろうと予測のもと、米国ではすでに先進的な医師たちの手によって臨床が開始されています。
以下に、彼らのコメントをまとめてみました。 |
| Er:YAG レーザーを使用している米国医師達のコメント |
Dr.Richard Fitzpatrick,La Jolla,CA
Er:YAG レーザーは、非常に薄い層の組織(10μmくらい)を削り取ることがでます。
また、CO2レーザーに比べて、行き過ぎた熱ダメージ層を生じることなく、浅くも深くも削ることが出来ます。 これは、サンダメージを受けた表皮を、下部層に熱ダメージを与えずに薄く削りたい時や、手、腕、首等のリサーフェシングに、潜在的に向いていると言えます。皮膚の収縮や長期に渡るErythemaを防ぎつつ、表面を薄くリサーフェシングしたい時にEr:YAG は、大変有効です。また、瘢痕修正や厚い皮膚を削るときにも有効であると考えられます。 |
Dr.Craig Zehrihg,Florida
Er:YAG レーザーをリサーフェシング、アクネスカー、切開に使用していますが、治療までの時間が著しく短いのです。ほとんどの患者さんの皮膚は、最初の4日間が強くピンク色になりますが、1週間程でおさまってきて、2週間ほどで正常の色に戻ります。CO2の場合は6週間経っても、まだ赤いというのが一般的です。Er:YAG は、皮膚に対する熱ダメージがほとんどないため、Hypopigmentationのリスクが低い等、安全なレーザーと言えます。 |
Dr.Albert J.Nemeth,Clearwater,FL
Er:YAG レーザーをしわとり、アクネスカーに使用しています。Er:YAG レーザーは、より精密手術ができ、組織やコラーゲンを取り去る能力に優れています。特にアクネスカー、口の周囲の治療には、CO2より向いています。 |
Dr.Stephen Lake,Bevrly Hills,CA
Er:YAG レーザーをしわとり、若返り術、光ダメージと瘢痕に使用しています。
Er:YAG レーザーは、CO2に比べ、痛みが少ないので、局部麻酔のみで治療できています。EMLAクリームのみで1パス目を行い、上皮を取り去り真皮に麻酔を浸して、5〜7分待ってから、2パス目以降を行っています。 他に、治療までの時間が短く、肌の赤みが早く消えます。またPigmentary Changesが起こりにくい等の利点が上げられます。 |
| ‘97AADに出品されていたEr:YAG レーザー |
機種名 / メーカー名 |
エネルギー |
パルス幅 |
繰り返し |
| MCL29 / Aesculap Mcditec |
100-1200mJ |
350μsec |
1-15Hz |
| CB Erbium / Comtinuum Biomedical |
-2J |
- |
-10Hz |
| Derma 20 / ESC Medical System |
0.1-0.7J |
350μsec |
5-12Hz |
| GEM 2000 / Crystal Focus |
0.1-1J |
150-300μsec |
4Hz |
|
| 他にCandela(Fotona)、HGM、SEO Medicalが出品していましたが、スペックは不明。 |
現在までの情報を総合すると、Er:YAG レーザーは:
1)凝固層が浅く、周囲組織への熱ダメージが小さい。
2)精密な手術操作が可能。
3)創傷治療が早い。
4)Erythemaの期間が短い。
5)Hyper及び Hypo pigmentation等の危険性が少ない。
6)首、手、腕、口の周囲などの治療に向いている。
7)瘢痕修正、アクネスカーに有効。
といった意見があるようです。
反面、
1)止血能力に欠ける。
2)熱作用が少ないことで十分なコラーゲン収縮が得られるか疑問。
3)Er:YAG での取ったしわがCO2と同じくらいの期間、保つのかどうか疑問。
等の欠点や疑問点も上げられます。 |